気管支炎の漢方薬処方

基本的な治療は抗生物質によって行われますが、漢方薬と併用することで効果が高まり副作用を軽減することが期待されます。
漢方治療では慢性化した気管支炎を、体質改善によって治癒していきます。
主に「痰の状態」によって処方を選択します。

水っぽい痰が出る場合

実証の方で、神経質で咽に違和感を感じる方は「柴苓湯」。
虚実間証で、咽の痛みや水鼻、悪寒や発熱、倦怠感を感じる方は「小青竜湯」。
虚証で胃腸虚弱、水鼻、冷えなどを感じる方は「苓甘姜味辛夏仁湯」。

粘っこい痰の場合

実証で肋骨下の圧痛・不快感、不眠、不安症状などある方は「四逆散」、激しい咳があり口が渇き頭に汗をかく方は「麻杏甘石湯」。
虚実間証で咳や咽の痛み、声枯れなどある方は「清肺湯」。
虚証で咽が乾燥し痛みを伴い、激しい咳が出て疲れやすい方は「麦門冬湯」か「味麦地黄丸」。

該当の無い方は以下を参考にして下さい

痰が少ない咳、咳の後呼吸が苦しくなる虚実間証の方は「神秘湯」か「柴陥湯」。
咽に痰がからみ、閉塞感があり抑うつ症状もある虚実間証の方は「柴朴湯」。
激しい咳があり、咽の痛みや鼻づまり、悪寒や発熱、関節痛などがある実証の方は「麻黄湯」。

 

注目度の高いページもご覧下さい

  1. 槐花
  2. 附子理中湯
  3. 川芎
  4. 天麻
  5. 緩下
  6. 仙茅
  7. 祛風湿薬
  8. 鬱金
  9. 鴨跖草
  10. 莪朮

虚実証とは

その人が生まれながらに持っている要素を「証」として分類したのが虚実証です。


実証
体格・骨格がガッチリしていて、筋肉量も多く、胃腸が丈夫な方。


虚証
体格・骨格が弱々しく、筋肉量も少なく、胃腸虚弱な方。


虚実間証
体格・骨格、筋肉量が普通で、胃腸も問題ない方。


自分が実証だと思う方は「実証~虚実間証」、虚証だと思う場合は「虚実間証~虚証」と判断すると漢方薬の選択が広がります。

陰陽証とは

陽証
冷たい飲み物や寒冷刺激を好む方、風邪で熱が出た時、身体が熱くなる方


陰証
温かい飲み物や温暖刺激を好む方、風邪で熱が出た時に寒くなる方


病気の進行状況によっても陰陽の表現が使われ、症状が強く現われる進行期を陽、病状が落ち着いてきた時を陰として判断する場合もあります。

気血水とは

漢方では気と血と水がバランス良く体内を流れることで健康を保つと考えられています。 「気」は根本的な生命エネルギーを表し、心身の活力や免疫に影響します。
「血」は血液やその機能、それによって運ばれる栄養、ホルモンなどを表します。
「水」は血液以外の体液や体内の水分、リンパ液や消化液、尿や汗などの機能を表しています。


気虚…気の量が不足し活力が低下している状態


気逆…気が上へと逆流している状態


気うつ(気滞)…気の流れが悪くなっている状態


瘀血…血流が悪くなり停滞している状態


血虚…血の量や機能が低下している状態


水滞(水毒)…余分な体液が体内に溜まった状態