円形脱毛症の漢方薬処方

円形脱毛症は一瞬の心身症とも言える症状で、急激なストレスやホルモンや神経バランスのトラブルによって起こります。通常は半年程度で再生しますが、重症になると幾つも出来たり、くっつき面積が広がるような例も起こります。毛は本来「血」に含まれますが、このような場合、漢方薬で「気」を整える治療を考えると良いでしょう。

実証の処方

胸や脇に苦しい感じがあり便秘気味の場合、不眠やイライラする方は「柴胡加竜骨牡蛎湯」、口が苦く肩こりがある方は「大柴胡湯」。
下腹部に抵抗・圧痛がある場合、便秘やのぼせ症状がある方は「桃核承気湯」、便秘は無く肩こりや月経異常がある方は「桂枝茯苓丸」が候補になります。

虚実間証の処方

胸や脇に苦しい感じがあり口が渇き食欲不振な方は「小柴胡湯」、下腹部に抵抗・圧痛があり肩こりや月経異常がある方は「桂枝茯苓丸」が候補になります。

虚証の処方

のぼせ症状があり、イライラしやすく、口が苦いような方は「桂枝加竜骨牡蛎湯」が候補になります。

 

虚実証とは

その人が生まれながらに持っている要素を「証」として分類したのが虚実証です。


実証
体格・骨格がガッチリしていて、筋肉量も多く、胃腸が丈夫な方。


虚証
体格・骨格が弱々しく、筋肉量も少なく、胃腸虚弱な方。


虚実間証
体格・骨格、筋肉量が普通で、胃腸も問題ない方。


自分が実証だと思う方は「実証~虚実間証」、虚証だと思う場合は「虚実間証~虚証」と判断すると漢方薬の選択が広がります。

陰陽証とは

陽証
冷たい飲み物や寒冷刺激を好む方、風邪で熱が出た時、身体が熱くなる方


陰証
温かい飲み物や温暖刺激を好む方、風邪で熱が出た時に寒くなる方


病気の進行状況によっても陰陽の表現が使われ、症状が強く現われる進行期を陽、病状が落ち着いてきた時を陰として判断する場合もあります。

気血水とは

漢方では気と血と水がバランス良く体内を流れることで健康を保つと考えられています。 「気」は根本的な生命エネルギーを表し、心身の活力や免疫に影響します。
「血」は血液やその機能、それによって運ばれる栄養、ホルモンなどを表します。
「水」は血液以外の体液や体内の水分、リンパ液や消化液、尿や汗などの機能を表しています。


気虚…気の量が不足し活力が低下している状態


気逆…気が上へと逆流している状態


気うつ(気滞)…気の流れが悪くなっている状態


瘀血…血流が悪くなり停滞している状態


血虚…血の量や機能が低下している状態


水滞(水毒)…余分な体液が体内に溜まった状態