膀胱炎・尿道炎の漢方薬処方

膀胱炎や尿道炎は細菌が患部に侵入し炎症を起こす病気で、急性と慢性のものがあります。
どちらの場合でも漢方薬を併用することで治療効果の向上を期待することができます。

実証の処方

排尿痛と血尿があり、便秘や不安症状、動悸などもある場合は「大黄牡丹皮湯」。
排尿痛が強く皮膚が浅黒い方は「竜胆瀉肝湯」が候補になります。

虚実間証の処方

排尿痛や血尿がある場合で、尿量減少、口が渇くなどの症状がある方は「猪苓湯」、残尿管や尿混濁があり慢性的な方は「五淋散」が候補になります。

虚証の処方

胃腸虚弱で倦怠感や冷え性もある方は「清心蓮子飲」。
高齢者のかたは「八味丸(八味地黄丸)」が候補になります。

 

虚実証とは

その人が生まれながらに持っている要素を「証」として分類したのが虚実証です。


実証
体格・骨格がガッチリしていて、筋肉量も多く、胃腸が丈夫な方。


虚証
体格・骨格が弱々しく、筋肉量も少なく、胃腸虚弱な方。


虚実間証
体格・骨格、筋肉量が普通で、胃腸も問題ない方。


自分が実証だと思う方は「実証~虚実間証」、虚証だと思う場合は「虚実間証~虚証」と判断すると漢方薬の選択が広がります。

陰陽証とは

陽証
冷たい飲み物や寒冷刺激を好む方、風邪で熱が出た時、身体が熱くなる方


陰証
温かい飲み物や温暖刺激を好む方、風邪で熱が出た時に寒くなる方


病気の進行状況によっても陰陽の表現が使われ、症状が強く現われる進行期を陽、病状が落ち着いてきた時を陰として判断する場合もあります。

気血水とは

漢方では気と血と水がバランス良く体内を流れることで健康を保つと考えられています。 「気」は根本的な生命エネルギーを表し、心身の活力や免疫に影響します。
「血」は血液やその機能、それによって運ばれる栄養、ホルモンなどを表します。
「水」は血液以外の体液や体内の水分、リンパ液や消化液、尿や汗などの機能を表しています。


気虚…気の量が不足し活力が低下している状態


気逆…気が上へと逆流している状態


気うつ(気滞)…気の流れが悪くなっている状態


瘀血…血流が悪くなり停滞している状態


血虚…血の量や機能が低下している状態


水滞(水毒)…余分な体液が体内に溜まった状態