蓄膿症の漢方薬処方

蓄膿症、慢性副鼻腔炎は、副鼻腔に膿が溜まり炎症を起こす病気で、頭重感が出たり呼吸が苦しくなったりと集中力も散漫になりがちです。
主に西洋薬での治療を主体としながら、漢方薬でサポートするような治療が理想的です。

実証の処方

首や肩のコリがある場合で、頭痛や発熱症状がある方は「葛根湯加川芎辛夷」、頭重感がある方は「葛根湯」、肥満気味で便秘やのぼせ養生がある方は「防風通聖散」が候補にあがります。
実証の処方には「麻黄」を含む漢方薬が揃っているので、高齢者や持病を持っている方は使用しないで下さい。

虚実間証の処方

みぞおち下に抵抗・圧痛がある場合で、肩こりや不安感や焦燥感が強い方は「小柴胡湯」、腹筋が緊張して固くなっている方は「四逆散」か「柴胡疎肝湯」。
皮膚が浅黒く、腹筋が硬直し、手足の発汗症状がある方は「荊芥連翹湯」か「辛夷清肺湯」が候補にあがります

虚証の処方

立ちくらみや動悸、のぼせ、口が渇くなどの症状がある方は「苓姜朮甘湯」。
虚弱体質で倦怠感が強く、食欲不振、頭痛や咳が出る方は「補中益気湯」か「千金内托散」が候補になります。

 

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虚実証とは

その人が生まれながらに持っている要素を「証」として分類したのが虚実証です。


実証
体格・骨格がガッチリしていて、筋肉量も多く、胃腸が丈夫な方。


虚証
体格・骨格が弱々しく、筋肉量も少なく、胃腸虚弱な方。


虚実間証
体格・骨格、筋肉量が普通で、胃腸も問題ない方。


自分が実証だと思う方は「実証~虚実間証」、虚証だと思う場合は「虚実間証~虚証」と判断すると漢方薬の選択が広がります。

陰陽証とは

陽証
冷たい飲み物や寒冷刺激を好む方、風邪で熱が出た時、身体が熱くなる方


陰証
温かい飲み物や温暖刺激を好む方、風邪で熱が出た時に寒くなる方


病気の進行状況によっても陰陽の表現が使われ、症状が強く現われる進行期を陽、病状が落ち着いてきた時を陰として判断する場合もあります。

気血水とは

漢方では気と血と水がバランス良く体内を流れることで健康を保つと考えられています。 「気」は根本的な生命エネルギーを表し、心身の活力や免疫に影響します。
「血」は血液やその機能、それによって運ばれる栄養、ホルモンなどを表します。
「水」は血液以外の体液や体内の水分、リンパ液や消化液、尿や汗などの機能を表しています。


気虚…気の量が不足し活力が低下している状態


気逆…気が上へと逆流している状態


気うつ(気滞)…気の流れが悪くなっている状態


瘀血…血流が悪くなり停滞している状態


血虚…血の量や機能が低下している状態


水滞(水毒)…余分な体液が体内に溜まった状態