花粉症・アレルギー性鼻炎の漢方薬処方

花粉症やアレルギー鼻炎などのアレルギー症状に対しても漢方薬は有効です。
ただし、これらの治療に使用する漢方には「麻黄」という生薬を含むものが多いので、高齢者の方などは注意する必要があります。

高齢者、持病を持っている方

高齢者や高血圧などの持病を持っている方は、次の処方を試してみて下さい。
胃腸が弱く、顔色も悪く、高血圧ではない方は「苓甘姜味辛夏仁湯」、冷え性で体が冷えると症状が悪化する方は「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」、鼻づまり、鼻閉の方は「辛夷清肺湯」が候補にあがります。

中高年

中高年の方はまず「麻黄附子細辛湯」を試して下さい。
これが合わない場合は以下の一般的な処方を参考にして下さい。

上記にに当てはまらない方は以下の処方を参考にして下さい。

水っぽい鼻水や咽の痛み、咳がある場合

虚実間~実証の方はまず「小青竜湯」を試して下さい。実証の方で効果が無い場合は「越婢加朮湯」、それらを試してムカムカしたり気分が悪くなった場合は「苓甘姜味辛夏仁湯」に切替えます。

慢性鼻炎で頭痛、頭重、首筋がこわばる場合

実証の方は「葛根湯加川芎辛夷」を試し、ムカムカする場合は「苓甘姜味辛夏仁湯」に切替えます。

肩こり、悪寒、発熱症状がある場合

実証の方のみになりますが「葛根湯」や「麻黄湯」を試し、ムカムカする場合は「苓甘姜味辛夏仁湯」に切替えます。

局部に熱感や痛みがあり鼻づまりが強い場合

虚実間~実証の方でこれらの症状を感じる場合は「辛夷清肺湯」が候補にあがります。

肩こり、みぞおちにつかえ感がある場合

虚実間~実証の方でこれらの症状を感じる場合は「柴葛解肌湯」が候補にあがります。

冷え性があり胃腸虚弱か胃腸が弱る場合

虚証の方でう水っぽい鼻水が出る場合は「苓甘姜味辛夏仁湯」、咽の痛みや倦怠感が強くなる場合は「麻黄附子細辛湯」が候補にあがります。

 

虚実証とは

その人が生まれながらに持っている要素を「証」として分類したのが虚実証です。


実証
体格・骨格がガッチリしていて、筋肉量も多く、胃腸が丈夫な方。


虚証
体格・骨格が弱々しく、筋肉量も少なく、胃腸虚弱な方。


虚実間証
体格・骨格、筋肉量が普通で、胃腸も問題ない方。


自分が実証だと思う方は「実証~虚実間証」、虚証だと思う場合は「虚実間証~虚証」と判断すると漢方薬の選択が広がります。

陰陽証とは

陽証
冷たい飲み物や寒冷刺激を好む方、風邪で熱が出た時、身体が熱くなる方


陰証
温かい飲み物や温暖刺激を好む方、風邪で熱が出た時に寒くなる方


病気の進行状況によっても陰陽の表現が使われ、症状が強く現われる進行期を陽、病状が落ち着いてきた時を陰として判断する場合もあります。

気血水とは

漢方では気と血と水がバランス良く体内を流れることで健康を保つと考えられています。 「気」は根本的な生命エネルギーを表し、心身の活力や免疫に影響します。
「血」は血液やその機能、それによって運ばれる栄養、ホルモンなどを表します。
「水」は血液以外の体液や体内の水分、リンパ液や消化液、尿や汗などの機能を表しています。


気虚…気の量が不足し活力が低下している状態


気逆…気が上へと逆流している状態


気うつ(気滞)…気の流れが悪くなっている状態


瘀血…血流が悪くなり停滞している状態


血虚…血の量や機能が低下している状態


水滞(水毒)…余分な体液が体内に溜まった状態