腰痛の漢方薬処方

腰痛は大別すると、1.筋肉や靭帯炎症や原因がはっきりしない腰痛、2.骨や関節の障害による腰痛、3.内臓疾患や全身性の病気や異常による腰痛に分けられます。
この内1のタイプはデスクワークや運動不足の方などに増えてきており、慢性化するケースも多くなっています。
漢方薬による治療では主にこのタイプの腰痛に対して治療を試みます。

実証の処方

まず腰痛に合わせて、首・肩・背中のコリがあり、関節痛などがある場合は「葛根湯」を、のぼせや下腹部に抵抗感や圧痛がある場合は「桂枝茯苓丸」。
のぼせたり手足の冷え、便秘症状がある場合は「桃核承気湯」が候補にあげられます。

虚実間証の処方

女性で更年期の方は「五積散」が候補にあげられます。更年期でなくても冷えのぼせや、腰が重く冷えるような方にも当てはまります。
次にお腹に抵抗・圧痛、悪寒などがある場合は「桂姜棗草黄辛附湯」が候補になります。

虚証の処方

肩こりと立ちくらみ、冷え性、疲労感がある場合は「当帰芍薬散」。
強い腰痛や多汗、尿量減少などがある場合は「桂枝加朮附湯」や「苓姜朮甘湯」が候補になります。

疲労時、飲酒時の腰痛

疲れた時やお酒を飲んだときになぜか腰が痛くなる、という方は血行不良が考えられますので「疎経活血湯」を試してみて下さい。

高齢者の腰痛

高齢者の方の腰痛に、まずは「八味丸(八味地黄丸)」を試してみて下さい。
加えてムクミや尿量の減少などがある場合は「牛車腎気丸」が候補にあげられます。

ぎっくり腰などの激しい痛み

昔からぎっくり腰など骨や関節異常による腰痛には「芍薬甘草湯」が処方されており、この漢方薬は別名「去杖温」とも呼ばれています。

 

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虚実証とは

その人が生まれながらに持っている要素を「証」として分類したのが虚実証です。


実証
体格・骨格がガッチリしていて、筋肉量も多く、胃腸が丈夫な方。


虚証
体格・骨格が弱々しく、筋肉量も少なく、胃腸虚弱な方。


虚実間証
体格・骨格、筋肉量が普通で、胃腸も問題ない方。


自分が実証だと思う方は「実証~虚実間証」、虚証だと思う場合は「虚実間証~虚証」と判断すると漢方薬の選択が広がります。

陰陽証とは

陽証
冷たい飲み物や寒冷刺激を好む方、風邪で熱が出た時、身体が熱くなる方


陰証
温かい飲み物や温暖刺激を好む方、風邪で熱が出た時に寒くなる方


病気の進行状況によっても陰陽の表現が使われ、症状が強く現われる進行期を陽、病状が落ち着いてきた時を陰として判断する場合もあります。

気血水とは

漢方では気と血と水がバランス良く体内を流れることで健康を保つと考えられています。 「気」は根本的な生命エネルギーを表し、心身の活力や免疫に影響します。
「血」は血液やその機能、それによって運ばれる栄養、ホルモンなどを表します。
「水」は血液以外の体液や体内の水分、リンパ液や消化液、尿や汗などの機能を表しています。


気虚…気の量が不足し活力が低下している状態


気逆…気が上へと逆流している状態


気うつ(気滞)…気の流れが悪くなっている状態


瘀血…血流が悪くなり停滞している状態


血虚…血の量や機能が低下している状態


水滞(水毒)…余分な体液が体内に溜まった状態