腎臓炎・ネフローゼの漢方薬処方

これらの病気ではむくみ、尿量異常、血尿、たんぱく尿などの症状が出てきます。
漢方薬での治療は西洋薬の補助、そして予防や再発防止を目的に用いられます。

初期の腎炎を補助

小柴胡湯」、「柴苓湯」(共に虚実間証)
虚実間証の方に対して処方します。ステロイド剤と併用し、薬の量を減らしたり、服用期間を短縮する効果を狙います。

再発防止

「小柴胡湯」、「柴苓湯」、「六味丸 (六味地黄丸)」、「補中益気湯
ステロイド剤での治療後、たんぱく尿や腎炎の再発を防止する目的で使用します。

予防目的

実証の方は「葛根湯」、虚実間証の方は「小柴胡湯」か「柴胡疎肝湯」、虚証の方は「小建中湯」。

後期補助

温脾湯」→腎不全患者の透析導入を遅らせるために使用します。

人参湯」→透析の副作用を軽減するために使用します。

 

虚実証とは

その人が生まれながらに持っている要素を「証」として分類したのが虚実証です。


実証
体格・骨格がガッチリしていて、筋肉量も多く、胃腸が丈夫な方。


虚証
体格・骨格が弱々しく、筋肉量も少なく、胃腸虚弱な方。


虚実間証
体格・骨格、筋肉量が普通で、胃腸も問題ない方。


自分が実証だと思う方は「実証~虚実間証」、虚証だと思う場合は「虚実間証~虚証」と判断すると漢方薬の選択が広がります。

陰陽証とは

陽証
冷たい飲み物や寒冷刺激を好む方、風邪で熱が出た時、身体が熱くなる方


陰証
温かい飲み物や温暖刺激を好む方、風邪で熱が出た時に寒くなる方


病気の進行状況によっても陰陽の表現が使われ、症状が強く現われる進行期を陽、病状が落ち着いてきた時を陰として判断する場合もあります。

気血水とは

漢方では気と血と水がバランス良く体内を流れることで健康を保つと考えられています。 「気」は根本的な生命エネルギーを表し、心身の活力や免疫に影響します。
「血」は血液やその機能、それによって運ばれる栄養、ホルモンなどを表します。
「水」は血液以外の体液や体内の水分、リンパ液や消化液、尿や汗などの機能を表しています。


気虚…気の量が不足し活力が低下している状態


気逆…気が上へと逆流している状態


気うつ(気滞)…気の流れが悪くなっている状態


瘀血…血流が悪くなり停滞している状態


血虚…血の量や機能が低下している状態


水滞(水毒)…余分な体液が体内に溜まった状態