神経痛・しびれの漢方薬処方

神経痛には三叉・舌咽・後頭・上腕・肋間・坐骨神経痛とありますが、原因不明のものも多くあります。
医師の診断などでどの種類か判明している方は、証とそれにあった漢方薬を選択してください。

実証の処方

坐骨神経痛でのぼせ、便秘を伴う方は「桃核承気湯」を、三叉神経痛で頭痛や肩こりを伴う方は「葛根湯」。
肋間神経痛で胸や肋骨周りに苦満感があり食欲不振の方は「大柴胡湯」、みぞおちのつかえ感がある方は「小陥胸湯」が候補にあがります。
慢性的な神経痛があり、肥満傾向で便秘の方は「防風通聖散」を試してみましょう。

虚実間証の処方

三叉神経痛の方で口の渇きや尿量減少を伴う方は「五苓散」、手足・顔面に強い痛みやこわばりがある方は「芍薬甘草湯」。
胸から上腹部に張りがあるような方は「小柴胡湯」や「柴胡桂枝湯」、のぼせ症状がある方は「桂枝茯苓丸」、冷えが無いかあっても少ない方は「疎経活血湯」が候補にあがります。

虚証の処方

女性の方で妊娠・出産を期に神経痛が現れた方や、冷え性、貧血、むくみを伴う方は「当帰芍薬散」。
慢性的な神経痛で冷えや自然発汗(何もしないのに汗が出る)が多い方は「桂枝加朮附湯」。
腰から下に脱力感や重だるさがあり、冷えやムクミも伴う方は「苓姜朮甘湯」。
手足の冷え、貧血を伴う方は「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」が候補にあがります。

高齢者の処方

高齢者の方の場合、まずは「八味丸(八味地黄丸)」を試して下さい。
手足がほてる症状がある場合は「牛車腎気丸」、手足や腰から下に冷えを感じる場合は「六味丸 (六味地黄丸)」が候補にあげられます。

 

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虚実証とは

その人が生まれながらに持っている要素を「証」として分類したのが虚実証です。


実証
体格・骨格がガッチリしていて、筋肉量も多く、胃腸が丈夫な方。


虚証
体格・骨格が弱々しく、筋肉量も少なく、胃腸虚弱な方。


虚実間証
体格・骨格、筋肉量が普通で、胃腸も問題ない方。


自分が実証だと思う方は「実証~虚実間証」、虚証だと思う場合は「虚実間証~虚証」と判断すると漢方薬の選択が広がります。

陰陽証とは

陽証
冷たい飲み物や寒冷刺激を好む方、風邪で熱が出た時、身体が熱くなる方


陰証
温かい飲み物や温暖刺激を好む方、風邪で熱が出た時に寒くなる方


病気の進行状況によっても陰陽の表現が使われ、症状が強く現われる進行期を陽、病状が落ち着いてきた時を陰として判断する場合もあります。

気血水とは

漢方では気と血と水がバランス良く体内を流れることで健康を保つと考えられています。 「気」は根本的な生命エネルギーを表し、心身の活力や免疫に影響します。
「血」は血液やその機能、それによって運ばれる栄養、ホルモンなどを表します。
「水」は血液以外の体液や体内の水分、リンパ液や消化液、尿や汗などの機能を表しています。


気虚…気の量が不足し活力が低下している状態


気逆…気が上へと逆流している状態


気うつ(気滞)…気の流れが悪くなっている状態


瘀血…血流が悪くなり停滞している状態


血虚…血の量や機能が低下している状態


水滞(水毒)…余分な体液が体内に溜まった状態