前立腺肥大の漢方薬処方

主に60歳以上の高齢の方に頻発する病気の一つで、前立腺には尿道が通っているため、この器官が肥大すると排尿障害が起こりやすくなります。
主な治療法は外科的な手術によって前立腺を切除しますが、漢方薬ではこの手前のまだ症状が軽い時期に用いられたり、外科手術後の再発防止などにも用いられます。

実証の処方

得てして便秘傾向にあり、特に排尿が困難で頻尿、排尿痛もあるような方は「大黄牡丹皮湯」、排尿障害に加えて手足の冷えやのぼせがある方は「桃核承気湯」が候補になります。

虚実間証の処方

排尿困難で尿量が減少し、血尿、残尿感があり口が渇くような方は「猪苓湯」。
頻尿で多尿、肩こりや手足の冷え、のぼせなどがある方は「桂枝茯苓丸」が候補になります。

虚証の処方

夜に用便を足すために目が覚める、排尿後に不快感があるような場合で、冷え性や腰の脱力感がある方は「八味丸(八味地黄丸)」、むくみや排尿障害が強い方は「牛車腎気丸」が候補になります。

 

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虚実証とは

その人が生まれながらに持っている要素を「証」として分類したのが虚実証です。


実証
体格・骨格がガッチリしていて、筋肉量も多く、胃腸が丈夫な方。


虚証
体格・骨格が弱々しく、筋肉量も少なく、胃腸虚弱な方。


虚実間証
体格・骨格、筋肉量が普通で、胃腸も問題ない方。


自分が実証だと思う方は「実証~虚実間証」、虚証だと思う場合は「虚実間証~虚証」と判断すると漢方薬の選択が広がります。

陰陽証とは

陽証
冷たい飲み物や寒冷刺激を好む方、風邪で熱が出た時、身体が熱くなる方


陰証
温かい飲み物や温暖刺激を好む方、風邪で熱が出た時に寒くなる方


病気の進行状況によっても陰陽の表現が使われ、症状が強く現われる進行期を陽、病状が落ち着いてきた時を陰として判断する場合もあります。

気血水とは

漢方では気と血と水がバランス良く体内を流れることで健康を保つと考えられています。 「気」は根本的な生命エネルギーを表し、心身の活力や免疫に影響します。
「血」は血液やその機能、それによって運ばれる栄養、ホルモンなどを表します。
「水」は血液以外の体液や体内の水分、リンパ液や消化液、尿や汗などの機能を表しています。


気虚…気の量が不足し活力が低下している状態


気逆…気が上へと逆流している状態


気うつ(気滞)…気の流れが悪くなっている状態


瘀血…血流が悪くなり停滞している状態


血虚…血の量や機能が低下している状態


水滞(水毒)…余分な体液が体内に溜まった状態