滑石読み方:カッセキ 英語名:Talc

正倉院や日本薬局方にも収録されている生薬・滑石ですが、日本と中国では用いられる滑石が少し異なります。
中国ではタルクと呼ばれる「硬滑石」が用いられますが、日本では加水ハロサイトやカオリナイトなどの「軟滑石」が用いられ、特に水に浸すと軟化して崩れるものを「唐滑石」と呼び、良品として扱われています。

基本情報

別 名 白陶土、軟滑石、硬滑石(タルク)
学 名 Talcum depuratum
原 材 料 加水ハロイサイト
薬用部位 鉱物性
採取・時期 ---
産 地 中国

漢方医学的情報

生薬分類 利水薬
薬 味 甘味
薬 性 寒性(食べると寒くなる)
薬効、薬理 利尿, 清熱燥湿, 通淋
帰 経 胃経, 膀胱経
配合漢方薬 防風通聖散猪苓湯合四物湯猪苓湯五淋散加味解毒湯

一般情報

主用成分 Al2O3・2SiO2・4H2O
主な効能 抗菌、皮膚・粘膜の自然治癒促進
病気への応用 膀胱や尿系の疾患に用いる
副作用---

タルク by Rob Lavinsky

 

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薬味とは

生薬はその味によって五味(酸、苦、甘、辛、鹹)に分類されます。


酸味… 散らばったものを収める働きがあり、肝、胆、目、筋の機能を補います。


苦味… 軟らかいものを引き締め、熱状を鎮め、湿りを乾かす働きがあり、心、小腸の機能を補います。


甘味… 激しいものを緩め薄める働き(緩和作用)や足らないものを養い補っていく働きがあり、脾、胃をはじめ消化器系の機能を補います。


辛味… 気や血の滞りを散らし、発散させる働きがあり、肺、大腸、鼻、皮膚の機能を補います。


鹹味(カンミ、塩辛い味)… 乾きを潤し、硬いものを軟らかくし、水分の調節をする働きがあり、腎、膀胱、耳、骨髄の機能を補います。

薬性とは

生薬が身体を温めるか冷ますかなどの度合いを表したものを「薬性」と呼び、主に5つに分類されます。


…身体を強く冷やす効果がある。


…「寒」より穏やかに身体を冷やす効果がある。


…身体に熱的な影響を及ぼさない。


…身体を穏やかに温める効果がある。


…身体を強く温める効果がある。


さらに効果の高い「大寒、大熱」なども分類されます。

帰経とは

その生薬が作用する経絡、臓腑などを表したものを「帰経」と呼びます。


五蔵:心…心臓、循環機能や自律神経、「神」とも呼ばれ意識や思考なども表しています。


五蔵:肺…肺、呼吸機能や体温調節を表しています。


五蔵:脾…消化器全般の消化・吸収機能を表しています。


五蔵:肝…肝臓や目、自律神経、中枢・運動神経などを表しています。


五蔵:腎…泌尿・生殖器や内分泌系を表し、気を蓄える所とされています。


六腑:小腸…脾の一部である小腸の吸収機能などを表しています。


六腑:大腸…大腸を表し水分代謝に関係しています。


六腑:胆…胆嚢を表し肝の機能の一部を担います。


六腑:胃…胃を表し脾の初期消化を担います。


六腑:膀胱…膀胱を表し腎機能の尿を貯留を担います。


六腑:三焦…水分代謝全般を表します。


心包…五臓:心を包む膜