附子読み方:ブシ 英語名:Monkshood

毒草として世界的に有名なトリカブトの根を生薬・附子と呼びます。
古代インドで「ビシュ」と呼ばれていたことから「附子」と呼ばれ始めたと言われています。

基本情報

別 名 鳥兜(とりかぶと)
学 名 Aconitum carmichaeli
原 材 料 キンポウゲ科カラトリカブト
薬用部位 素材の根を用いる
採取・時期 秋頃、花が咲く直前に掘りあげた塊根を高圧蒸気で処理する
産 地 日本, 中国, 韓国, ヨーロッパ, 北アメリカ

漢方医学的情報

生薬分類 温裏薬
薬 味 辛味
薬 性 熱性(食べると熱くなる)
薬効、薬理 止痛, 温裏, 補陽
帰 経 心経, 脾経, 腎経
配合漢方薬 薏苡附子敗醤散麻黄附子細辛湯附子理中湯附子人参湯茯苓四逆湯八味地黄丸当帰芍薬散加附子湯大防風湯大黄附子湯真武湯芍薬甘草附子湯四逆湯四逆加人参湯加大黄四逆加人参湯牛車腎気丸桂枝二越婢一湯加朮附桂枝芍薬知母湯桂枝加苓朮附湯桂枝加朮附湯桂枝越婢湯桂姜棗草黄辛附湯甘草附子湯葛根加朮附湯解急蜀椒湯越婢加朮附湯温脾湯右帰丸

一般情報

主用成分 アルカロイド:アコニチン、ヒパコニチン、メサコニチン、エサコニチンなど
主な効能 鎮痛作用、強心作用、新陳代謝の促進、肝タンパク質合成促進
病気への応用 漢方では、強心、鎮痛、新陳代謝の促進を目的に用いる
副作用のぼせ、舌のしびれ、吐き気、発汗、動悸など

トリカブト

 

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薬味とは

生薬はその味によって五味(酸、苦、甘、辛、鹹)に分類されます。


酸味… 散らばったものを収める働きがあり、肝、胆、目、筋の機能を補います。


苦味… 軟らかいものを引き締め、熱状を鎮め、湿りを乾かす働きがあり、心、小腸の機能を補います。


甘味… 激しいものを緩め薄める働き(緩和作用)や足らないものを養い補っていく働きがあり、脾、胃をはじめ消化器系の機能を補います。


辛味… 気や血の滞りを散らし、発散させる働きがあり、肺、大腸、鼻、皮膚の機能を補います。


鹹味(カンミ、塩辛い味)… 乾きを潤し、硬いものを軟らかくし、水分の調節をする働きがあり、腎、膀胱、耳、骨髄の機能を補います。

薬性とは

生薬が身体を温めるか冷ますかなどの度合いを表したものを「薬性」と呼び、主に5つに分類されます。


…身体を強く冷やす効果がある。


…「寒」より穏やかに身体を冷やす効果がある。


…身体に熱的な影響を及ぼさない。


…身体を穏やかに温める効果がある。


…身体を強く温める効果がある。


さらに効果の高い「大寒、大熱」なども分類されます。

帰経とは

その生薬が作用する経絡、臓腑などを表したものを「帰経」と呼びます。


五蔵:心…心臓、循環機能や自律神経、「神」とも呼ばれ意識や思考なども表しています。


五蔵:肺…肺、呼吸機能や体温調節を表しています。


五蔵:脾…消化器全般の消化・吸収機能を表しています。


五蔵:肝…肝臓や目、自律神経、中枢・運動神経などを表しています。


五蔵:腎…泌尿・生殖器や内分泌系を表し、気を蓄える所とされています。


六腑:小腸…脾の一部である小腸の吸収機能などを表しています。


六腑:大腸…大腸を表し水分代謝に関係しています。


六腑:胆…胆嚢を表し肝の機能の一部を担います。


六腑:胃…胃を表し脾の初期消化を担います。


六腑:膀胱…膀胱を表し腎機能の尿を貯留を担います。


六腑:三焦…水分代謝全般を表します。


心包…五臓:心を包む膜