蕁麻疹の漢方薬処方

じんましんは主に急性のものが多く数時間から数日で自然と消えるものがほとんどですが、一ヶ月程度繰り返し起こる慢性的なものもあります。漢方治療ではアレルギーなどの急性的なものでなく、慢性的なじんましんの治療にアプローチします。

実証の処方

のぼせ、肩こりがある場合で、月経異常がある方は「桂枝茯苓丸」、便秘がある方は「大柴胡湯」。
強いかゆみ、化膿、おできができやすい方は「十味敗毒湯」。
便秘で胸が苦しい感じがあり、口が渇くような方は「茵蔯蒿湯」が候補になります。

虚実間証の処方

皮膚が乾燥し、冷え、のぼせ、疲労感を伴う方は「温清飲」。
強いかゆみがあり、口が渇き浮腫むような方は「茵蔯五苓散」。
胸や脇に苦しい感じがあり、口が苦く食欲不振な方は「小柴胡湯」が候補になります。

虚証の処方

皮膚が乾燥氏がちで貧血や虚弱体質な方は「当帰飲子」が候補になります。

 

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虚実証とは

その人が生まれながらに持っている要素を「証」として分類したのが虚実証です。


実証
体格・骨格がガッチリしていて、筋肉量も多く、胃腸が丈夫な方。


虚証
体格・骨格が弱々しく、筋肉量も少なく、胃腸虚弱な方。


虚実間証
体格・骨格、筋肉量が普通で、胃腸も問題ない方。


自分が実証だと思う方は「実証~虚実間証」、虚証だと思う場合は「虚実間証~虚証」と判断すると漢方薬の選択が広がります。

陰陽証とは

陽証
冷たい飲み物や寒冷刺激を好む方、風邪で熱が出た時、身体が熱くなる方


陰証
温かい飲み物や温暖刺激を好む方、風邪で熱が出た時に寒くなる方


病気の進行状況によっても陰陽の表現が使われ、症状が強く現われる進行期を陽、病状が落ち着いてきた時を陰として判断する場合もあります。

気血水とは

漢方では気と血と水がバランス良く体内を流れることで健康を保つと考えられています。 「気」は根本的な生命エネルギーを表し、心身の活力や免疫に影響します。
「血」は血液やその機能、それによって運ばれる栄養、ホルモンなどを表します。
「水」は血液以外の体液や体内の水分、リンパ液や消化液、尿や汗などの機能を表しています。


気虚…気の量が不足し活力が低下している状態


気逆…気が上へと逆流している状態


気うつ(気滞)…気の流れが悪くなっている状態


瘀血…血流が悪くなり停滞している状態


血虚…血の量や機能が低下している状態


水滞(水毒)…余分な体液が体内に溜まった状態