月経異常の漢方薬処方

月経異常は主に以下の3タイプに分かれます。

  • 月経不順 … 生理周期の遅れ
  • 月経困難症 … 月経痛や生理時の頭痛・吐き気・イライラなどの不調
  • 月経過多 … 出血量が多い
  • 月経前緊張症 … 生理1週間前あたりからイライラ、怒りっぽい、憂鬱、眠気、肩こりなど様々な症状が出て、生理が始まると収まる

実証の処方

月経困難症で便秘がある場合で、のぼせて顔色が赤くイライラし、お腹の左下が痛む方は「桃核承気湯」、唇が紫色で充血し、お腹の右下が痛む方は「大黄牡丹皮湯」。
月経前緊張症で不安や憂鬱感が強い方は「通導散」が候補になります。

虚実間証の処方

月経困難症で強い月経痛がある方は「芍薬甘草湯」、肌荒れ、のぼせ、むくみ、へそ下の圧痛がある方は「桂枝茯苓丸」。
タイプを問わず、皮膚の乾燥やのぼせがある場合は「温清飲」、突然上半身がほてったり、不安感が強くなる方は「加味逍遙散」が候補になります。

虚証の処方

月経困難症で冷えや腹痛を伴う方は「当帰建中湯」、手足が冷えて、冷えると痛みが増す方は「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」。
月経過多で貧血や皮膚にシミが出来るような方は「芎帰膠艾湯」。

タイプを問わず、冷えやめまい、耳鳴り、貧血、むくみがある方は「当帰芍薬散」、冷えや下痢、貧血、手のひらがほてり口が渇く方は「温経湯」が候補になります。

 

虚実証とは

その人が生まれながらに持っている要素を「証」として分類したのが虚実証です。


実証
体格・骨格がガッチリしていて、筋肉量も多く、胃腸が丈夫な方。


虚証
体格・骨格が弱々しく、筋肉量も少なく、胃腸虚弱な方。


虚実間証
体格・骨格、筋肉量が普通で、胃腸も問題ない方。


自分が実証だと思う方は「実証~虚実間証」、虚証だと思う場合は「虚実間証~虚証」と判断すると漢方薬の選択が広がります。

陰陽証とは

陽証
冷たい飲み物や寒冷刺激を好む方、風邪で熱が出た時、身体が熱くなる方


陰証
温かい飲み物や温暖刺激を好む方、風邪で熱が出た時に寒くなる方


病気の進行状況によっても陰陽の表現が使われ、症状が強く現われる進行期を陽、病状が落ち着いてきた時を陰として判断する場合もあります。

気血水とは

漢方では気と血と水がバランス良く体内を流れることで健康を保つと考えられています。 「気」は根本的な生命エネルギーを表し、心身の活力や免疫に影響します。
「血」は血液やその機能、それによって運ばれる栄養、ホルモンなどを表します。
「水」は血液以外の体液や体内の水分、リンパ液や消化液、尿や汗などの機能を表しています。


気虚…気の量が不足し活力が低下している状態


気逆…気が上へと逆流している状態


気うつ(気滞)…気の流れが悪くなっている状態


瘀血…血流が悪くなり停滞している状態


血虚…血の量や機能が低下している状態


水滞(水毒)…余分な体液が体内に溜まった状態