尿失禁の漢方薬処方

尿失禁は大別すると以下の3タイプに分けることができます。

  • 腹圧性 … 骨盤の筋力低下や膀胱周りのゆるみ
  • 切迫性 … 脳血管障害などで膀胱が収縮し、突然激しい尿意を催す
  • 反射性 … 脊髄障害などで尿意に関係なく膀胱に尿が溜まると反射的に排出する

腹圧性尿失禁の処方

虚実間証から虚証の方で、不眠や肩こりなどある方は「清心蓮子飲」、胃腸虚弱で体力低下の方は「補中益気湯」、それらが該当しない場合は「十全大補湯」か「当帰芍薬散」が候補になります。

切迫性尿失禁の処方

実証から虚実間証の方で、むくみ、充血、陰部のかゆみがある方は「竜胆瀉肝湯」や「抑肝散芍薬」、肋骨下に圧痛や不快感があり、不眠やイライラなどある方は「四逆散」、むくみや痙攣性の疼痛がある方は「猪苓湯」+「芍薬甘草湯」が候補になります。

虚実間証から虚証に方で、下半身に脱力感があり、不眠や不安感などもある場合は「半夏厚朴湯」+「八味丸(八味地黄丸)」、不眠や肩こりがある場合は「清心蓮子飲」が候補になります。

反射性尿失禁の処方

虚実間証から虚証の方で、下半身の脱力感や冷え、疲労感がある方は「八味丸(八味地黄丸)」、その他に「牛車腎気丸」や「真武湯」が候補になります。

 

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虚実証とは

その人が生まれながらに持っている要素を「証」として分類したのが虚実証です。


実証
体格・骨格がガッチリしていて、筋肉量も多く、胃腸が丈夫な方。


虚証
体格・骨格が弱々しく、筋肉量も少なく、胃腸虚弱な方。


虚実間証
体格・骨格、筋肉量が普通で、胃腸も問題ない方。


自分が実証だと思う方は「実証~虚実間証」、虚証だと思う場合は「虚実間証~虚証」と判断すると漢方薬の選択が広がります。

陰陽証とは

陽証
冷たい飲み物や寒冷刺激を好む方、風邪で熱が出た時、身体が熱くなる方


陰証
温かい飲み物や温暖刺激を好む方、風邪で熱が出た時に寒くなる方


病気の進行状況によっても陰陽の表現が使われ、症状が強く現われる進行期を陽、病状が落ち着いてきた時を陰として判断する場合もあります。

気血水とは

漢方では気と血と水がバランス良く体内を流れることで健康を保つと考えられています。 「気」は根本的な生命エネルギーを表し、心身の活力や免疫に影響します。
「血」は血液やその機能、それによって運ばれる栄養、ホルモンなどを表します。
「水」は血液以外の体液や体内の水分、リンパ液や消化液、尿や汗などの機能を表しています。


気虚…気の量が不足し活力が低下している状態


気逆…気が上へと逆流している状態


気うつ(気滞)…気の流れが悪くなっている状態


瘀血…血流が悪くなり停滞している状態


血虚…血の量や機能が低下している状態


水滞(水毒)…余分な体液が体内に溜まった状態