延胡索読み方:エンゴサク 英語名:Corydalis tuber

生薬・延胡索は止痛や婦人科疾患の治療薬として用いられ、とくに胃痛や月経痛などに効果を認められています。
かつては「玄胡索」という名前でしたが、宗の時代に現在の名前に改められたようです。
原材料の一つエゾエンゴサクは日本にも自生しています。

基本情報

別 名 玄胡索、元胡索、コリダリス
学 名 Corydalis turtschaninovii
原 材 料 ケシ科の多年草エンゴサク
薬用部位 素材の塊根を用いる
採取・時期 地上部が枯れた頃に塊根を採取し茹でた後天日乾燥させる
産 地 日本, 中国

漢方医学的情報

生薬分類 活血薬
薬 味 苦味, 辛味
薬 性 温性(食べると温かくなる)
薬効、薬理 止痛, 活血, 理気
帰 経 肝経, 胃経
配合漢方薬 八味疝気方折衝飲牛膝散芎帰調血飲第一加減枳縮二陳湯膈下逐瘀湯烏苓通気散安中散加茯苓安中散

一般情報

主用成分 イソキノリンアルカノイド、d-コリダリン、dl-テトラヒドロバルマチン、プロトピン、l-テトラヒドロプチシン
主な効能 コリダリン、プロトピン、テトラヒドロコプチシンによる鎮痛、鎮痙作用(痙攣等を鎮める)、デヒドロコリダリンによる胃液過多改善、潰瘍の抑制作用。
病気への応用 鎮痛、鎮痙薬として用いられ主に関節痛や腰痛、生理痛などの緊張を緩和し止痛する。瘀血等の改善を目的として使用される場合もある。

エンゴサク

 

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薬味とは

生薬はその味によって五味(酸、苦、甘、辛、鹹)に分類されます。


酸味… 散らばったものを収める働きがあり、肝、胆、目、筋の機能を補います。


苦味… 軟らかいものを引き締め、熱状を鎮め、湿りを乾かす働きがあり、心、小腸の機能を補います。


甘味… 激しいものを緩め薄める働き(緩和作用)や足らないものを養い補っていく働きがあり、脾、胃をはじめ消化器系の機能を補います。


辛味… 気や血の滞りを散らし、発散させる働きがあり、肺、大腸、鼻、皮膚の機能を補います。


鹹味(カンミ、塩辛い味)… 乾きを潤し、硬いものを軟らかくし、水分の調節をする働きがあり、腎、膀胱、耳、骨髄の機能を補います。

薬性とは

生薬が身体を温めるか冷ますかなどの度合いを表したものを「薬性」と呼び、主に5つに分類されます。


…身体を強く冷やす効果がある。


…「寒」より穏やかに身体を冷やす効果がある。


…身体に熱的な影響を及ぼさない。


…身体を穏やかに温める効果がある。


…身体を強く温める効果がある。


さらに効果の高い「大寒、大熱」なども分類されます。

帰経とは

その生薬が作用する経絡、臓腑などを表したものを「帰経」と呼びます。


五蔵:心…心臓、循環機能や自律神経、「神」とも呼ばれ意識や思考なども表しています。


五蔵:肺…肺、呼吸機能や体温調節を表しています。


五蔵:脾…消化器全般の消化・吸収機能を表しています。


五蔵:肝…肝臓や目、自律神経、中枢・運動神経などを表しています。


五蔵:腎…泌尿・生殖器や内分泌系を表し、気を蓄える所とされています。


六腑:小腸…脾の一部である小腸の吸収機能などを表しています。


六腑:大腸…大腸を表し水分代謝に関係しています。


六腑:胆…胆嚢を表し肝の機能の一部を担います。


六腑:胃…胃を表し脾の初期消化を担います。


六腑:膀胱…膀胱を表し腎機能の尿を貯留を担います。


六腑:三焦…水分代謝全般を表します。


心包…五臓:心を包む膜